前回、U-Lab ― ミニアプリを作成して公開するまでという記事を書きました。動くミニアプリを並べる実験場を、どういう考えで設計したのかをまとめたものです。
あの記事には、設計の考え方だけでなく、作りながら戸惑った点や見つけた改善も入っていました。そういう細かい経緯は、あとから思い出せません。あの記事も、記憶をたどって書いたものではありません。作業のたびに残していた履歴を材料にして組み立てたものです。
その履歴を自動で残して、そこから記事にする仕組みを、どのように作成したのか。ここに残しておきます。
U-Labは、AIを使って作っている
U-Labは、AIを使いながら作っています。ここで使っているのは、チャットで質問に答えるだけのAIではなく、コードを実際に書いたりファイルを直したりできる開発ツールです。人間が「こうしたい」と伝えると、AIがその場で手を動かして形にする、という進め方です。
この進め方は速い一方で、弱点があります。作業が速く進むぶん、「いつ・何を・なぜそうしたか」が後ろに流れていきます。設計を変えた理由や、途中で行き詰まって直した経緯は、そのときは頭に入っていても、数日たてば思い出せなくなります。
記事を書こうとしたとき、この弱点がそのまま壁になりました。何に戸惑ったのかを思い出せないと、経緯を書けません。そこで、作業のたびに履歴を残す仕組みを先に用意しました。
仕組みの全体像 ― 3段階に分けた
やりたいことは「AIを使った開発の経緯を残し、それを記事に変える」ことです。これを3つの段階に分けました。
- 残す ― 作業のたびに、経緯を決まった形のメモに書き出す
- ためる ― そのメモを1か所に積み上げていく
- 変える ― 積み上げたメモを材料に、ブログの記事へ書き直す
肝になるのは、記事を書く段階で力を入れるのではなく、作業している最中に材料を残しておくところです。あとで思い出す手間をなくせば、記事にする負担は大きく減ります。
段階1 ― 決まった形のメモを、作業のたびに残す
まず、経緯を書き出すメモの形を決めました。毎回書く項目をそろえておくと、あとで記事にしやすいからです。項目はこうしました。
- 何を作ったか
- なぜそうしたか
- どうやって作ったか
- つまずいた点と、どう解決したか
- わかったこと
この中でもっとも重視したのが「つまずいた点と、どう解決したか」です。前回の記事の山場になったのも、この部分でした。うまくいった話より、行き詰まって抜け出した話のほうが読み応えが出ます。ここは忘れないうちに、その場で書き残すことにしました。
メモは、作業のテーマごとに1つのファイルとして残します。ファイル名の頭に日付を付けておくと、あとから時系列で並びます。専門用語には短い補足を添えておく、というルールも決めました。あとで記事にするとき、噛み砕く手間が減るからです。
段階2 ― AIに、作業のたびに残させる
メモの形を決めても、書き忘れては意味がありません。人の記憶に頼ると、忙しいときほど抜けます。そこで、メモを残す作業そのものをAIの手順に組み込みました。
使った仕組みは2つです。どちらも、開発ツールのAIに対して「毎回こう動いてほしい」を伝えておく機能です。
1つ目は、AIに毎回渡す手順書です。「ミニアプリを作り始めるとき」と「作業を締めるとき」の手順を、あらかじめ文章にしておきます。作り始めの手順の最初に「まずメモのファイルを用意する」を、締めの手順に「メモが残っているか確認する」を入れておきました。AIはこの手順に沿って動くので、作業の入り口と出口で必ずメモに触れることになります。
2つ目は、ファイルを保存した瞬間に自動で走る検査です。これは手順書とは別で、決めた出来事が起きたときにAIが自動で実行する仕組みです。U-Labでは、アプリの一覧を1つのファイルにまとめて管理しています。このファイルが壊れると、トップページのアプリ一覧がすべて表示されなくなります。そこで、このファイルを保存したときに「中身が壊れていないか」を自動で確かめる検査を組み込みました。
手順書は「作業の流れの中で必ず通る道」に置く守り、自動検査は「事故が起きやすい一点」に置く守り、という役割分担です。
段階3 ― たまったメモを、記事に書き直す
ここまでで、作業のたびにメモがたまっていきます。最後の段階が、そのメモをブログの記事に変えることです。
ここで気をつけたのは、メモをそのまま記事にしないことです。メモは自分向けの覚え書きなので、専門用語のまま書いてあったり、文体が素っ気なかったりします。そのまま載せると読みづらい。メモはあくまで材料と割り切り、記事にするときはブログの書き方のルールに沿って書き直します。
まとめ
- U-LabはAIを使って作っていて、進みが速いぶん経緯が後ろに流れやすい
- そこで「残す・ためる・変える」の3段階で、作業履歴から記事を作る仕組みを用意した
- メモは項目をそろえた形にし、つまずきと解決を必ずその場で書き残す
- メモを残す作業は、AIに毎回渡す手順書と、保存時の自動検査で取りこぼしを防ぐ
- メモは材料と割り切り、記事にするときはブログの書き方に沿って書き直す
作業の最中に材料を残しておけば、記事を書くときに思い出す手間がなくなります。この仕組みがあるからこそ、作ったものを続けて記事にできています。